1階壁から2階床まで一気にコンクリートを打設するため、鉄筋を組み型枠を建て込んでいきます。打放しコンクリートの外観として見えてくる部分が多いので、細々としたことに気を配り見て回ります。
外観として見えてくる部分は、①型枠の継ぎ目位置、②セパアナの通り、③上階との打継ぎ、❹結束線の錆、❺釘の飛び出し、❻スペーサーの調整、❼木屑の溜まり、などがあります。
①②③は考えた通りの施工が難しければ現場で相談して変更することもあります。現場を見て、イメージを損なうことなくどこまで許せるか判断することになります。今回型枠大工さんには手間と仕上がりに関して、こちらの意図することを出来るだけ汲み取ってもらい、満足する出来栄えとなりました。
❹❺❻❼はその都度自分で手を入れて整えます。❹は型枠面に結束線が触れるような状態でコンクリートを打つと、後々錆が外壁面を伝う恐れがあります。❺は型枠をバラす時にコンクリート内で固まった釘の頭が残って傷になります。❻は柱の主筋など重要な箇所の被り厚さが不足することがないようにタイミングを見て隅っこにねじ込まなければならないことがあります。❼は型枠の細かい切り屑や結束線の切り屑、釘などが打継ぎ目地部分の奥に溜まると汚れになる恐れがあります。
もちろん工事の方々にお願いはしますが、イレギュラーなことで手が薄くなる場面が必ずあるので、先回りして自分でやっておきます。ちょっとしたことで後悔するのは非常に残念ですから。そもそも普段そこまでやらないっていうことをお願いしたりしています。
今回スペーサーはモルタル製の物を使用しました。膨張収縮の性質が異なる樹脂製の物を使用するのは出来るだけ避けるべきだというのもありますが、感覚的に強度の劣るものを混ぜ込むのはゴミが入ったようで嫌なものです。外見上コンクリートの塊のようで実は中身は色々な物が入っているって、気になりませんか?とは言え設備配管を埋設する場合はそんなことも言ってられないのだけれど、出来る限りの事をします。
鉄筋の結束については出来るだけ全数に近付くように、最低でも千鳥とお願いしました。構造的にはコンクリートが固まった後の強度に影響ないようですが、固定が緩いと打設作業時の歩行による撓みが局部的に大きくなるので、動いた床鉄筋の下に空洞が出来たり、壁の先端で被りが不足するなど思わぬ事態が発生する可能性があります。
特に時間がかかったのが、バルコニー部分の立上り内側の浮き型枠でした。立上りに打ったコンクリートが床へと流れ出してしまいます。また浮き型枠の下側が押されて傾いてしまうので施工中も様子を見ながらになります。
この建物は各階のバルコニーを雨水が回りながら落ちていくので、納まりをこのようにしました。打継ぎを床面に作らないことで、万一水溜りが出来ても、そこから躯体内部へ浸水する危険性を低くします。